カフェイリスの本棚より

 

カフェイリスの一角に、これは私たちの考え方に近いぞ、と思っている本を並べた、本棚とは言えないくらいの小さな小さな本のスペースがあります。その中の本から、少しご紹介をいたします。

 

高橋一也『古来種野菜を食べてください。』

本文より、抜粋。

 

その農法は未来への希望を込めている

 

有機栽培をしている農家さんたちがまだ少なく、自然食品店は数えるくらいだった一九七〇年代。そこからクリックひとつで野菜が届くようになるまでにたったの四〇年。オーガニックが世の中に浸透してきたのは、これまでの先輩たちの活動があったからに違いはない。

ただ僕としては、この状況の中で、ひとつ欠けていることがある気がしている。おいてけぼりになっているのは、先駆者たちが何より伝えたかった「環境への配慮」だ。

日本の場合、「オーガニックな暮らし」とは、人が真ん中にあるライフスタイル(僕には時としてファッションにもみえる)として浸透している。おしゃれだし、素敵だし、なんかこう都会的な感じさえする。

だけど本当のオーガニックというのは、そのスタイルを超えたところにあって、僕らが真ん中の暮らしではない。環境の中に僕らがいるのであって、動物と人は並列だし、人間が賢いようにみえるのは、人が作り上げた都合のよい話だ。

野菜が作られる畑では、土の中の微生物、土の上の動物たち、その土を作っている蓄積されたもの、風、太陽の光、それらすべてがおりなす環境の中で野菜がはぐくまれていく。時にはそのすべては味方にもなり、時にはそのすべては被害をもたらす。

だけど、人が自然の中の一部として、植物でもある野菜に寄り添い続けることが次世代への循環する環境をつないでいく。僕がリスペクトしている先輩たちというのは、本当は、そういうことも合わせて伝えていきたかったはずだ。

僕がお付き合いをしている農家さんたちは、その気持ちをすごく大事にして仕事をしている。その農法というのは、希望を込めた思想なんだ。野菜を栽培することで生活をしていくという、ふらふらに厳しい状況なのに、そこに、未来への希望を込めている。毎日、農仕事をする時の、目の前の景色をずっと見ていられるように。これを子孫たちへつなげていけるように、と。

 

食のつじつま

 

なぜ、わざわざそういうことまで伝えていくのかというと、もっと皆が楽に生きて欲しいなと、思っているからだ。

自分に何ができるんだろうと、ずっと自分探しを続けているとか、もしくはその逆で、納得できない社会に対して、ずっと問い続けるのも、自然だけど不自然だなと感じている。

食はちゃんとしているけれど、じゃあ住まいはどう?じゃあ服はどう?そのバランスをうまくとりながら暮らしていかないと、自分を肯定できなくなってきて、何だかいろいろこじれてきたりもする。

「食べること」というのは、とても身近で動物的なこと。

だから、そこさえ自分の中でつじつまがあっていれば、人の想いをどう受け取るか、食から学ぶことができる。後は、少しくらいそれていたっていいし、自由にすればよいじゃない。

 

 

そう、自由。すべては喜びのため。美味しいという私たちの喜びが同時に未来への希望にもつながっている。それを形にしたいと思い、パン屋という方法で表現している。パンでも、コーヒーでも、ワインでも、すべては同じなのです。共感できる仕事をしている人たちとつながり、自由でハッピーな空気を纏った美味しさを提供し続けること、そんなカネルブレッド の思いとよく似た本のご紹介でした。もちろん安心で安全なのも大事、けれどそれだけじゃない。思いを知ることで、自分の選択に自信が持てるのではないかと思います。一人でも多くの人の美味しい楽しい人生の一コマを飾ること、それがカネルブレッド の表現したい仕事です。こちらの本に興味のある方は、イリススタッフに気軽にお声かけくださいね。どうぞ店内で読んで行っていただければ嬉しいです。